なぜ公立高校入試で中3夏休みの時点で不合格が決まる事があるのか

 

前回の記事で、(東京都の)公立高校受験の制度について説明をしました。

 

今回の記事は、公立受験の制度について前提知識がないと理解できない話となるので、公立高校入試の制度について知識がない方は、まず下の記事を読んでください。

 

高校受験の制度を知らないと中3の夏休みには不合格が決まる事も!?
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前回の記事は、あくまで公立高校受験の制度についてまとめただけなので、本やネットで調べれば書いてある事ばかりだったと思います。

 

ここから先は、塾で指導している情報となります。

 

と言っても、極秘の情報というわけではなく、公立高校入試の制度を知っていれば当然思いつく内容ばかりです。

 

しかし、この「当然思いつく内容」を知らない生徒や保護者の方も多いのです。

 

そこで、今回の記事では、さらに公立高校受験の制度に踏み込みながら、受験生は「いつ」「何を」すべきかについて、一般論を述べていきます。

 

前回の記事のタイトルで「夏休みに入った時には、公立高校入試で不利になっている事がある。」と書いておきながら制度の説明で終わってしまい申し訳ありませんでした。

 

今回の記事では、「夏休みに入った時には、公立高校で不合格が決まってしまう事もある」のかについて、その理由の核心に迫っていきたいと思います。

 

なお、今回の記事は東京都の公立高校受験を想定して書いています。

 

地区や学校によって話が異なる事もあります。

 

この記事を読んで不安を感じた方は、学校などに情報を確認しましょう。

 

 

内申点の重要性

 

以前の記事で書いた通り、高校受験は「総合得点」で決まります。

 

「総合得点」(1000点満点)=「学力検査得点」(700点満点)+「調査書点」(300点)

 

「調査書点」は3割,というと、少ないように思う方もいると思いますが3割は非常に重い数字です。

 

公立高校入試では、まず「調査書点」を上げる事が重要になります。

 

例えば(極端な例えになりますが)内申がオール3のAさんとオール4のBさんがいたとします。

 

内申がオール3のAさんの「調査書点」は計算すると180点になります。

 

内申がオール4のBさんの「調査書点」は計算すると240点になります。

 

つまりAさんとBさんが同じ高校を受験した場合、AさんはBさんより上にいくためには「調査書点」で60点を逆転する必要があります。

 

(細かい計算は省きますが)これは入学試験の時の点数に換算すると43点多くとらないとAさんはBさんを逆転できない事になります。

 

入学試験における43点差は実力に明らかな差がないと逆転は厳しい数字です。

 

特に公立高校の場合は、同じような実力の受験生が受験するので、43点差ついてしまったらAさんがBさんを逆転するというのは難しいのが現実です。

 

公立高校受験では同じような実力の生徒が受験するので、「調査書点」でついた差を逆転するのはかなり難しいので、受験生は「調査書点」で点数を稼ぐことが重要になります。

 

そして「調査書点」は内申によって決まるので、まず内申点を上げなければいけません。

 

だから公立高校受験では中学校の内申が重要になってきます。

 

内申はどの教科を重視すべきか

 

受験生にここまで説明した上で「じゃあ内申でなにを上げればいいと思う?」と聞くと「英語」「数学」などの答えがなぜか返ってきます。

 

確かに受験で英語と数学は重要です。

 

でも公立高校受験で「調査書点」を上げるために重視すべき教科は何でしょうか。

 

「調査書点」=「換算内申」×300÷65 でした。

 

つまり「調査書点」を上げるためには「換算内申」を上げれば良かったですよね。

 

「換算内申」=「主要5教科の内申の合計」+「実技4教科の内申の合計」×2

 

という事は、「換算内申」において、実技4教科の内申は主要5教科の内申の2倍の価値をもっています。

つまり、「調査書点」を上げるためには、実技4教科の内申が重要になってくるという事です。

 

まず、この実技4教科の内申を上げる事の重要性を理解していない受験生と保護者が多いです。

 

受験というと、どうしても主要5教科ばかりに保護者も受験生も目がいってしまいますが、違います。

 

実技4教科の内申は主要5教科の内申の2倍の価値があるので、実技4教科の内申を上げる事が重要になります。

 

また、実技4教科は対策をすれば試験の点数はすぐ上がる教科ばかりなのです。

 

じゃあ、どうすればいいの?

 

公立高校の受験で使われる内申は、中学3年生の2学期の内申になります。

 

中学3年の1学期までの内申がどれだけよくても2学期が悪ければダメですし、同様に中3の1学期までの内申がどれだけ悪くても2学期の内申が良ければOKです。

 

では2学期の内申はどのように決まるのか

 

主要5教科は、2学期の中間試験と期末試験の2つの試験の成績に授業態度・提出物の評価を加味して決めます。

 

中学3年の2学期の中間・期末試験の成績で公立高校で使われる内申が決まるので、夏休みはどの塾も駆け込みで多くの生徒で混雑しています。

 

しかし、中3の夏休みにどれだけ勉強しても遅い事があります。

 

実技4教科は主要5教科とは違う時期の定期考査で成績を決めるからです。

 

 

では実技4教科の内申はどうやってきまるのか

 

 

中学2年までの今までの定期考査の科目を振り返ってみましょう。

 

実技4教科の定期試験は1学期定期考査、2学期期末考査、学年末考査の3回しか行われなかったはずです。

つまり中学3年の2学期の定期考査で言えば、実技4教科は期末考査でしか試験が行われません。

 

では中学3年の2学期の期末考査だけで実技4教科の内申は決まるのでしょうか?

 

答えは、Noです。

 

実技4教科は、6月に行われる1学期定期試験と2学期期末考査の2回の成績をもとに決めます。

 

(学校によっては異なるので、内申を決めるのがどの試験なのかはきちんと確認して下さい。)

 

正確には中3の1学期定期試験と2学期期末考査の2回の点数に、授業態度・出席・提出物を加味して内申が出されます。

 

つまり、実技4教科は6月に行われる1学期の時に悪い点数を出してしまったら、夏休みからどれだけがんばって2学期の試験でがんばっても実技4教科では良い内申点はとれないのです。

 

そして実技4教科の内申は、主要5教科の内申の2倍の価値を持ちます。

 

実技4教科で内申が離されてしまうと、主要5教科で内申を挽回するのは、ほぼ不可能と思って良いです。

 

実技4教科の内申は主要5教科の2倍の価値を持つので、実技4教科で2科目失敗したら、主要5科目ですべての内申を1上げないと、内申点を上げる事は出来ません。

 

主要5教科で全科目で内申を1上げるのは、不可能ではありませんが実現するにはとてつもない労力が必要になります。

 

実現できたとして、主要5教科で死ぬほど頑張った結果が1学期の実技4教科の試験を失敗した穴埋めというのはつらすぎます。

 

だから、実技4教科については中3の1学期期末考査から点数を出さなくてはいけません。

 

中3の1学期の時期、実技4教科ではすでに高校入試に向けた本番の試験が始まっているのです。

 

1学期の定期考査で実技4教科の点数が悪い場合、夏休みの始まる7月にはすでに取り返しのつかない事態になっています。

 

これを私は「実技4教科のワナ」と呼んでいます。

 

毎年、多くの保護者と生徒が「実技4教科のワナ」にひっかかります。

 

 

実技4教科の内申が足りないため、調査書点が低くなり、中3の1学期が終了した時点で、志望する公立高校の合格可能性が消える生徒が生徒が毎年何人もいます。

 

 

そして志望する公立高校のレベルを1ランク・2ランク下げなくてはいけなくなってしまいます。

 

どうか気を付けてください。

 

次の記事では、具体的に「いつから」「どのように」実技4教科の対策をするのかをお伝えしたいと思います。

 

公立高校受験の内申点を上げるため中3の1学期定期考査で何をすべきか
公立高校受験では、実技4教科の内申を決める試験は中3の1学期定期試験からです(東京都の場合)。そこで内申の決め方と実技4教科の試験問題の傾向から導き出される実技4教科対策についてお伝えしようと思います。

 

まとめ

 

公立高校入試においては、内申を上げる事が重要になる。

 

内申点においては実技4教科は主要5教科の2倍の価値を持つので、実技4教科が重要である。

 

実技4教科は中3の6月の1学期定期考査と2学期期末考査の2回の点数をもとに決められる。

 

よって6月の1学期定期考査で実技4教科の点数が悪いと、実技4教科の内申が上がる見込みがなくなる事がある。

 

実技4教科については中3の1学期定期考査において、本気で点数を出さなくてはいけない。

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